ニューヨーク/OddRooming史上最高の即興デュオを目撃・Marilyn Crispell &Tyshawn

ニューヨーク/OddRooming史上最高の即興デュオを目撃・Marilyn Crispell &Tyshawn

おどりすとRoomin’は音楽にはあまり詳しくないながらも、おどりの感性だけで素晴らしい即興演奏をする方々とご一緒させていただきましたが、これは参ったと思えるくらい衝撃的な即興デュオを目撃してしまったのは、Creative Music Studioのニューヨーク郊外アップステートで行われる夏の合宿ワークショップに初めて参加した時のことでした。(2014年6月)そもそもKarl Berger率いるCreative Music Studioは拠点をニューヨーク郊外のウッドストックに置いており、この地はKarlのアソシエイトのミュージシャンなども数多く活動するエリアなのですが、(ウッドストックとはあの「ウッドストックフェスティバル」でも有名な音楽の聖地でもあります。)そのワークショップについてはあまりにも魅力的なことが様々あり、また改めてお話ししますが、その際のガイディングアーティスト、つまり講師として参加していたのが、往年のピアニストMarilyn Crispellマリリン・クリスペルでした。ちなみにMaster WotazumiはMarilyn Crispellのことはよく知っておりCDも複数枚所持していてあわよくばサインをもらおうと持参してきているほどファンのようでした。

このワークショップでは毎晩セッションライブを敷地内のライブハウスにて行うという夢のようなイベントがあり、その時に講師としてきていたMarilyn CrispellとTyshawnのセッションがゲリラ的にはじまったのです。Tyshawnは若手の新進気鋭のドラマーとしてニューヨークでは高い評価を得ている勢いのあるミュージシャンで、とにかくなんでもビートを刻んでしまう天性型のクールな演奏をします。Marilyn Crispellはとても可愛らしい雰囲気の女性なのですが、演奏するときの憑依ぶりがとてもナチュラルで、おそらくもう相当な年代(60代?)に達しているであろうと思われる女性が出す奇跡のかわいさと、一方の柔らかな狂気はちょっとすごいですね。そして非常にイキがよく、かといって叩きまくって自分のテクニックを見せつけるようなことは決してしないTyshawnとの即興デュオは、お互いの音とともに身体と呼吸も感じられるような超一級のものをみせていただいたと思います。実は、この会場ではドリンクもほぼフリーでいただけるとあってこの時Roominはかなり酔っ払っていたのですが、その状態をもってしても未だにあの感触は忘れられないものとなっています。

ワークショップの期間中毎晩このステージでライブが繰り広げられて思い思いの組み合わせでセッションが繰り広げられる

ワークショップからニューヨーク市内へ戻った後、「The STONE」で、Marilyn CrispellとTyshawnともう一名のベースの方とのライブがあり、そちらもみに行きました。今にして思うと、おそらくそのSTONEでの本番があったから、Creative Music Studioのワークショップの際にデュオをしたんではないかなと思います。STONEでのライブももちろん素晴らしく、距離も近いため、より凝視することができました。(飲んでいなかったし。)Marilynの手元もよく見ることができて、さらに狂気もたっぷり味わうことができて素晴らしいライブでした。(お名前を忘れてしまいましたがベースの方もすごく良かったです。)

Marilyn Crispell:とてつもない身体性
Tyshawn(右)


終演後、お声がけをするとMarilynは私のことをよく覚えていてくださって(そのワークショップでは私のおどりはある意味センセーショナルだったらしく)ものすごく親近性をもって対応してくれました。Master Wotazumiに言わせるとその際には他にもMarilynファンの方がいたのですが、Roomin’に羨望の眼差しを送っていたように見えたらしいです。あつかましいかもしれませんが、なんだか似通った「血」のようなものを感じてしまいますし、私の目指すロールモデルがもしいるとすればそれはMarilynなのかもしれません。

The STONEにて

2000年代初頭に出されたマリリンクリスペルトリオの一枚。
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