ニューヨーク/Karl Berger-Creative Music Studio-のImprovisers Orchestraは即興なのにオーケストラ

ニューヨーク/Karl Berger-Creative Music Studio-のImprovisers Orchestraは即興なのにオーケストラ

ニューヨーク在住歴の長いMaster WotazumiはCreative Music StudioのKarl Bergerが率いる「即興オーケストラ=Improvisers Orchestra」のメンバーです。Creative Music Studioは70年代にKarl BergerとIngrid Sertsoそして Ornette Colemanによって設立されたMusic Foundationなのですが、音楽を愛し、即興を愛し、ジャンルを超えた音楽の創造を基としており、我々に様々な得がたい経験・影響を与えてくれたニューヨークの活動の中では重要な存在です。うろ覚えなのですが、全く何もわからなかった一番最初にニューヨークに行った時、Master Wotazumiが懇意にしていたOpen Music Ensemble主宰の「Pillip翁」の情報でHouston St.近くにある「The STONE」(artistic director:John Zorn)で行われていた定例のImprovisers Orchestraを聴きに行ったのがはじめての接点だったような気がします。時間がなくてもう終わりかけの頃になってしまいその時のことはほとんど覚えていないのですが、どうやらその時にPillip翁がMaster WotazumiのことをKarl Bergerに紹介してくれたようで、その後Master WotazumiはImprovisers Orchestraのメンバーとして演奏に参加するようになったとのこと。

Karlにサインをちゃっかりいただく

即興のオーケストラImprovisers Orchestraとは?

さて、完全即興で当然譜面や段取りがない演奏スタイルとオーケストラとはなんとなく相反するもののようで、一体どんな演奏になるのかイメージがつきにくいのではないかと思いますが、いわゆるフリージャズのセッションなどとも全く違う発想で、今ここに集った現場でKarl Bergerのコンダクト(指揮)により創り上げられた即興のオーケストラとしか言いようがありません。このKarlのコンダクトがこのオーケストラの肝なのです。オーケストラといってももちろんクラシックの交響楽団のような楽器編成ではありません。Master Wotazumiは法竹というバンブーフルートですが、ミュージシャンがそれぞれ普段最も使う楽器にて参加しています。ドラムや管楽器、ベース、ヴァイオリンなど弦楽器、ピアノ、Lap Top、ヴォイスなど列挙しきれませんが実にバラエティに富んだ楽器が集います。それでもパフォーマンスで位置につく際にはなんとなく笛群とか、パーカッション群とか、ヴァイオリン群とかにカテゴライズされていてそれはそれで「オーケストラ」な雰囲気。ちなみに参加しているミュージシャンはプロの方々で、誰でも自由に参加できるというものでもないようです。

Karlの指揮により、ある楽器群を指して音がはじまるとミュージシャン達はかなり集中してKarlの気配を感じ取ろうとしている様子が感じられます。たまにソロでも演奏を振られるミュージシャンもいて、Karlはその日の楽器のバランスや聞いてみたい演奏などを即興で聴き見極めているのでしょう。やがてKarlの動きは彼のからだ全体から、からだの外側にすら放出しそれに呼応して全体の演奏が一体化していくという、まさに「即興オーケストラ」としか言いようのない状態で「場」が温まっていく様子はやはりただの「音楽」という枠組みを越えようという気概が感じられるのでした。
英文の解説はこちら
→Improvisers Orchestraについて(Creative Music Studioのwebサイト)

Karlの身体に皆集中することで即興がオーケストラとなる

Creative Music Studioの歴史を紹介した書籍「All Kinds of Time: The Enduring Spirit of the Creative Music Studio」にはMaster WotazumiがImprovisers Orchestraのメンバーとして掲載されている。

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