2017年久々のNYその6/ニューヨークの活動はグローバルではないローカルだ@iBeam、Park church、Share

2017年久々のNYその6/ニューヨークの活動はグローバルではないローカルだ@iBeam、Park church、Share

→前回:2017年久々のNYその5/Creative Music Studioの合宿WSは毎晩即興セッションのライブ
「私の車に乗って行きなさいよ」
世界最高峰のPipa(中国琵琶)奏者の第一人者であるMin Xiao-Fen氏のそうであるとは思えないようなフレンドリーなお言葉に甘えて、Creative Music Studioの合宿ワークショップが行われていたニューヨーク州のアップステートWoodstock郊外からニューヨーク市内まで車で送っていただき(車で約3時間!)Minさんのホームタウンであるニューヨーク市内のForest Hills駅前の交差点にてお別れのご挨拶を。Minさんの車でここまできた余韻に浸っている状態で、森の中からいきなりシティの喧騒に触れ若干浦島太郎感に見舞われましたが、その日の夜はiBeamでAndrea Wolper氏が設定してくれたライブが控えており本番モードへ切り替えなくてはなりません。

有給休暇も残りわずか。週明けにはニューヨークを発つのでこの週末はニューヨーク市内でいくつかgigを設定していました。それぞれタイプの違うイベントなので、5日間どっぷり浸かってきたCreative Music Studioの即興のつくりとも違う文化圏に触れて一旦フラットな状態になれたのは私らしいなとおもいます。

2017.6.16 @iBeam
Reunion with Andrea Wolper and Carol Liebowitz

nycでは白塗りを仕込んでから会場入りすることがデフォルト

ブルックリンの港湾エリアの元倉庫を利用したであろうiBeamは天井高のある素敵なハコです。ここにはバーカウンターもなく本当にあるのは空間とグランドピアノで、客席もそれなりに増やせるしシンプルに音楽や表現活動を発表し共有できる貴重な場所だと思います。Roomin’もこちらで踊るのは数回めかで、何かしらのアレンジも加えねばと思いますが、今回は3年ぶりの出演でしたのでこの3年の修行の成果をお見せすることができればという感じでしょうか。以前観に来てくれて評価してくれたすごいセンスのいいミュージシャンの女性がわざわざ来てくれて本当に嬉しかったです。

2017.6.17 @Park church
with Dylan A. Marcheschi and Tamio Shiraishi

今回の旅程の最初の週末の一発目のライブでBushwickのSilent Barnで踊った際に白石民夫氏経由でDylanという青年と共演させていただいたのですがその時に評判が良くて、ぜひこちらでもとお誘い位いただいたイベントです。何より「Park church」という教会で行われるパフォーマンスということも魅力的で、かつてない経験をさせていただいた気がします。この教会はかなりでかい教会で、礼拝の座席がそのまま客席になっているので皆おもいおもいに時間を過ごしている感じです。一応祭壇的な部分がステージのように小上がりになってはいますが特にスポットライトを浴びせるでもなく、この中での踊りは今までの自分の踊りの本番史上かなりハードルの高いものだったんではないかと思います。つまり何をやっているかはほとんど見えないのです。その日はDylanの仲間のアーティストによるvisual artが入っていて映像が祭壇に投影され白石さんやDylanは結構いい感じで音を出していました。教会などの天井高の高い空間は反響がよく、ミュージシャンにとっては好ましい空間だったりします。座席で待機しながら祭壇の見え具合をチェックしてその日は「傘」を使うことにしました。Roomim’はいつも日傘を持っているのですが割と明るい色合いなのでこれならみえるんではないかと思い急遽決定。しかも映像がスクリーンのようになるんではないかと期待。

かろうじて存在は示すことができたかな〜という感じですが、このライブをみたMaster Wotazumiによると傘の踊りは印象的だったとのこと。映像の面白さもありこれはこれでまぁよいかと思っております。

2017.6.18 @Share
with Tamio Shiraishi and KenYa Kawaguchi

そして今回のツアーの最後を締めくくるのはMaster Wotazumiが、白石民夫氏と共演したい一心で自ら企画したライブ。Shareは、港湾地区にある素敵な空間を第三者(?)に提供してもらっていて(詳しくは知らないのですが)、自主的な運営でジャンルを超えた先進的な表現活動を共有している「場」です。Master Wotazumiはこちらの常連メンバーでその仲間の方々は本当に先進的な感性や感覚を孕む表現活動を超マイペースで行なっている、なんともいえない「うちら寄り」な素敵な方々。もちろんこの場は全方向に開放されているので誰でもウェルカムなのですが、この空気感を嗅ぎつけて感度のいいミュージシャンやアーティストが世界から集っているのです。

ニューヨークでライブをするというと一見世界に出たような気分になるかもしれないのですが、実際はどの地においても自分のやりたいことをやれる環境や場を得るにはなかなか時間はかかるものです。やはり視点は「グローバル」ではなく「ローカル」なのですよね。そういった自分にとって納得のいくかたちのものにたどり着くには時間はかかったりするのですが、私にとって舞踏は最初から時間がかかることを前提として始めていて、(実際周りの大人の人たちには散々「舞踏の新人なんて40歳からだ!」とか言われてきて)そうやって自分の感性にOKを出せるくらいなじまないとすすめないようなそんな正直さは、時間はかかるかもしれないけど長い目で見れば財産になっていくような気がしているのです。